閉塞型睡眠時無呼吸症候群に対する治療の第1選択の治療はNasal CPAP(nasal continuous positive airway pressure)です。一般的にSASの程度が重症で、日中傾眠をはじめとする臨床症状が強いほどNasalCPAPは有効で、患者はその効果を自覚することができます。よって中等〜重度のSASに対する治療法としてはNasalCPAPが最も確実な治療であると考えられます。しかし、SASが軽度〜中等度で自覚症状があまり強くない症例に対するNasalCPAP治療のコンプライアンス(継続率)は、必ずしも良好でありません。(一般的に6-7割程度)NasalCPAPでの有効性は認められているものの、様々な理由で治療中断することが少なくないため代替治療が必要となってきます。
NasalCPAPに替わりうる治療としては耳鼻科的手術(UPPP:口蓋垂軟口蓋咽頭形成術)、歯科的治療(口腔内装置)があります。歯科的治療の方が非侵襲的であり簡便です。その簡便性のゆえに我が国でも急速に普及しつつあります。
しかし、NasalCPAPも歯科的治療も根治療法ではなく、あくまでも対症療法であり、治療を中断すれば再び臨床症状が出現してくるため、患者には減量をはじめとする生活習慣の改善指導が必要であることは言うまでもありません。