睡眠時無呼吸症候群とは
睡眠時無呼吸症候群(SAS:Sleep Apnea Syndrome)とは、気道の閉塞などが原因で、眠っている間に何回も
呼吸が止まった状態(無呼吸)や呼吸が弱くなった状態
(低呼吸)が繰り返される病気です。
呼吸が止まっていることによってすぐに窒息死を起こすわけ
ではありません。きちんとした睡眠がとれていないことにより、
じわじわと体が侵され、高血圧や心臓疾患・脳血管障害などの
生活習慣病を引き起こしたり、昼間の眠気や居眠りなどにより
仕事上のミスや交通事故・産業事故を引き起こすことが問題と
なっています。睡眠時無呼吸症候群の方は、健康なかたと比較して高血圧を発症する可能性は2倍、狭心症・心筋梗塞は3倍、脳血管障害は4倍という報告があります。
アメリカのデータでは睡眠1時間当たり20回以上の無呼吸がある患者さんは無治療のまま放置すると、9年後には10人のうち4人は心臓病・脳血管障害・交通事故などで亡くなっていたという報告もあります。
検査について
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中の出来事ですので、その原因や重症度を調べるためには夜間睡眠中の検査が必要です。まず、簡単な問診やアンケートをしていただき、その後アプノモニタという簡易検査(寝る前に腕につける簡単な検査装置)をしていただきます。これは貸し出しになっており、自宅でやっていただきます。
この検査にて無呼吸や低呼吸の重症度がわかります。その結果、さらに詳しい検査(ポリソムノグラフィー)が必要かどうかがわかります。この検査は入院が必要になりますので、近隣の入院検査ができる病院を紹介させていただきます。
重症度が高い場合には、詳しい検査をせずに早期に治療(CPAP治療)を行うことがあります
治療について
適切な治療を行うと夜間のいびき・無呼吸や日中の眠気などの症状がなくなるだけでなく、高血圧・心疾患などの合併症を予防したり改善することがあります。まず、自分の生活習慣の見直しをしましょう。肥満気味の方は運動や減量を、飲酒される方は就寝前の飲酒を避けるようにしましょう。禁煙も大事です。また、横向きに寝るようにするといびきや無呼吸が改善されることもあります。軽症の方はこういった生活習慣の見直しだけで症状が改善されることがあります。中等度以上のかたはさらに別の治療が必要です。
●CPAP療法
就寝時に鼻にマスクを装着することにより、鼻から圧力のある空気を送り込み気道の閉塞を防ぐ仕組みになっています。睡眠時無呼吸症候群の中では最も有効です。健康保険が適応となりますが、管理目的にて月1回の定期受診が必要となります。
●マウスピース(Splint治療)
就寝時のみ装着するマウスピースです。通常のマウスピースと違い、上下の顎を固定し、下顎を前に突き出すように作られています。
●手術療法
扁桃腺が大きい場合や口蓋垂(のどちんこ)が大きく垂れ下っている場合に適応になります。