2006年4月から禁煙治療が保険適応されることになりました。

これは喫煙を単なる習慣や嗜好と考えるのではなく、「ニコチン依存症」

という病気としてとらえ、必要な治療を行うという考え方です。

治療は一定の条件を満たした喫煙者なら、どなたでも受けることが

できます。

 一定の条件とは・・・

   @本人が直ちに禁煙しようと考えていること

   Aスクリーニングテストでニコチン依存症と診断されること

   B(一日喫煙本数×喫煙年数)が200以上であること

   C禁煙治療を受けることに文書で同意されていること

※一度、禁煙治療(保険治療)を受けた方は、治療終了後1年間は

 保険治療での禁煙治療は受けることはできません。
 

1.どんな治療をするの?

 以下のプログラムにのっとり12週間の通院治療が必要です。

  治療前の問診・診療 (禁煙治療のための条件の確認)

  初回治療            各受診時に以下のことを行います。

  再診1(約2週間後)        @ 診察

  再診2(約4週間後)        A 呼気一酸化炭素濃度の測定

  再診3(約8週間後)        B 禁煙に対するアドバイス

  再診4(約12週間後)       C 禁煙用薬剤の処方


2.費用はいくらかかるの?


                     自費         保険診療(3割)

初診料初診料+再診療      7620円           2286円

ニコチン依存症管理料      9620円           2886円

その他(調剤費等)         α円            α円

薬剤料

 (ニコチンパッチ8週)      21480円            6444円

 (内服薬12週)          38018円          11405円


 合 計

 (ニコチンパッチの場合)  38720円+α         11616円+α

 (内服薬の場合)       55258円+α         16577円+α


(参考)
 
 1日1箱(300円)の喫煙を12週間続けた費用      25200円
 
 1年間で                             109500円


3.禁煙治療の薬って?

禁煙のための補助薬にはニコチンパッチ(張り薬)、チャンピックス(内服薬)

ニコチンガムがあります。この薬は禁煙後の離脱症状を抑え、禁煙を助け

てくれます。(減煙目的ではありません。) 薬を使うと禁煙成功率が約2倍

に高まります。

ニコチンパッチやニコチンガムを使用しながら喫煙するとニコチン過剰摂取

となり、以後の薬の効果が乏しくなる可能性があります。また妊婦・授乳婦

急性期の心疾患・脳血管障害の人は使用できません。


【ニコチンパッチ】 健康保険が使えます。

            毎日一枚皮膚に貼ることにより(朝が良い)皮膚から

            ニコチンが吸収されます。

            一定期間を置きながら、張り薬のサイズが大きいもの

            から小さいものに切り替えて使用するのが標準的な

            使用方法です。最近、薬局販売用のニコチンパッチが

            発売されましたが、これは大きいサイズのものはなく

            保険もききません。8週間の使用で約27000円します。


【チャンピックス】 健康保険が使える内服薬です。

            禁煙開始日の1週間前から服用(1日2回)します。

            ニコチンを使用しておりませんが、タバコを吸ったときと

            同じような多幸感を味わうことができます。この薬を

            飲んでいると、たとえ喫煙したとしても喫煙による多幸感

            が味わえなくなることがあります。


【ニコチンガム】  薬局薬店で購入します(健康保険は使えません)

            たばこを吸いたくなった時に、1回1個をゆっくりと時間を

            かけてかみます。(少し噛んでから、ほほの内側に貼り

            つけるようにして口の中の粘膜から吸収させます。)


≪ニコチン依存症スクリーニングテスト≫
 
   5個以上でニコチン依存症と言われています

設問内容
問1 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。
問2 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。
問3 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。
問4 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか。  (イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)
問5 問4でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか。
問6 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。
問7 タバコのために健康問題がおきているとわかっても、吸うことがありましたか。
問8 タバコのために自分に精神的問題(注)がおきているとわかっても、吸うことがありましたか。
問9 自分はタバコに依存していると感じたことがありましたか。
問10 タバコが吸えないような仕事や付き合いを避けることが何度かありましたか。



肺年齢について

肺年齢とは、1秒間に吐ける息の量(1秒量)から、標準に比べて自分の

呼吸機能がどの程度であるかを確認していただくための目安です。

 1秒量の標準値は、性・年齢・身長によって異なり、20歳代をピークに

加齢とともに減少します。肺年齢を知ることで、肺の健康意識を高め、

健康維持や禁煙指導、呼吸器疾患の早期発見・治療にご活用ください。

スパイロメーターという機械を使って測定します。(数分でできます。)

(当院で検査可能です)



〔年齢と肺機能〕


                                          (Fletcher C, BMJ. 1 : 1645, 1977)

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禁煙治療と肺年齢